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退職を伝えたら引き止められたとき|考え方・断り方と、法律上の退職のルール

サイト管理人
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転職1回・転職活動3回を経験。実体験をもとに情報をお届けします。
内定が出て退職を伝えたところ、「待遇を見直すから残ってほしい」「今抜けられると困る」と引き止められ、気持ちが揺れる——転職の場面では、よくあることです。引き止めに応じるか、断るかに、一つだけの正解があるわけではありません。この記事では、引き止めの典型的なパターンを整理し、判断のための材料と、断るときの伝え方の流れをまとめました。あわせて、法律上の退職のルール(民法第627条・第628条など)と、退職を認めてもらえないときの公的な相談先を、e-Gov法令検索と厚生労働省の案内で確認できた範囲で紹介します。退職の切り出し方や円満退職の全体の進め方は退職の切り出し方・円満退職のコツで説明しているので、ここでは「引き止められたあと」に絞ります。
⚠️ はじめにお読みください
2026年10月時点で、e-Gov法令検索と厚生労働省などの公的機関が公表している案内をもとにまとめた一般的な情報です。引き止めへの対応は、ご自身の状況や価値観、会社の事情によって考え方が変わります。この記事は、応じることも断ることも、すすめるものではありません。法律の当てはまり方は、契約の内容や就業規則、具体的な事実関係によって異なります。この記事は個別の法的判断や法律相談に代わるものではなく、困ったときは労働局などの公的な窓口や専門家にご相談ください。

① 引き止めのよくあるパターンと、考えるときの視点

退職を伝えると、会社や上司が引き止めることがあります。理由はさまざまで、本当に惜しいと思われている場合もあれば、人手不足や引き継ぎの都合が背景にある場合もあります。まずは、よくある形を4つに分けて整理します。

パターン よくある言い方の例 考えるときの視点
待遇改善の提示(カウンターオファー) 「給与を上げるので残ってほしい」 条件の中身と時期が書面などで確認できるか。転職を考えた理由が、その条件で解決するか
異動・昇進の提示 「希望の部署に移す」「役職を用意する」 いつ・どの部署・どの役割か具体的か。会社の事情で変わる可能性はないか
人手不足・責任感に訴える 「今抜けられると困る」「後任が決まるまで」 気持ちは受け止めつつ、引き継ぎに協力することと、退職しないことは分けて考える
感情に訴える・退職届を受け取らない 「裏切りだ」「この話は聞かなかったことにする」 法律上のルールと相談先を知っておく(第5章・第6章)

どのパターンでも共通して大切なのは、その場で結論を出さないことと、転職を考えた理由に立ち返ることです。引き止められたことで気持ちが揺れるのは、自然なことです。

② カウンターオファーとは|提示された条件を考える判断材料

カウンターオファーとは、退職の意思を伝えられた会社が、給与の引き上げや役職など、残留してもらうための条件を示すことを指して使われる言葉です。この記事ではこの意味で使います。なお、引き止めに応じた人のその後などについて、公的機関が公表している統計は確認できませんでした。そのため、割合や傾向を示す数字は書いていません。

条件を提示されたときは、「応じるべきか、応じないべきか」と二択で考えるより、判断のための材料を並べてみると整理しやすくなります。

📝 条件を提示されたときの確認ポイント
  • その場で答えず、持ち帰る。「ありがとうございます。一度考えさせてください」と伝え、いつまでに返事をするかを決めておく
  • 条件を書面(メールを含む)で確認する。金額、時期、役職、適用される期間など、口頭だけの話になっていないか
  • 転職を考えた理由が解決するか。給与が理由だったのか、仕事の内容・人間関係・働き方だったのか。後者の場合、待遇の上乗せだけでは変わらないこともある
  • 会社の制度や人事の仕組みと合っているか。提示した本人の一存で決められる内容か、人事などの承認が必要か

応じる場合は、慣れた環境で働き続けられることや、条件が改善することが利点になります。一方で、転職を考えた理由が残ったままだと、また同じことで悩むかもしれません。応じない場合は、新しい環境で挑戦できる反面、入社してみて想像と違ったと感じる可能性もあります。どちらにも利点と懸念があり、どちらが良いかは人によって異なります。迷ったときの考え方は転職して後悔しないためににまとめています。

また、内定先にすでに入社の意思を伝えている場合、残留を選ぶなら内定辞退の連絡が必要になります。連絡は早いほど、相手の負担が小さくなります。伝え方は内定辞退の伝え方とマナーで整理しています。

③ 異動・昇進、人手不足、感情に訴える引き止めの考え方

異動・昇進を提示されたとき

「希望の部署に異動できるようにする」「役職を用意する」といった提案は、内容が具体的で、実現の時期や条件がはっきりしていれば、検討する材料になります。確認したいのは、いつ、どの部署で、どんな役割になるのか、そしてそれが書面やメールで示されるかどうかです。口約束だけだと、後から食い違いが生じることがあります。

人手不足・責任感に訴えられたとき

「今抜けられると困る」という言葉は、気持ちとしては理解できるものです。ただし、引き継ぎに協力することと、退職そのものを取りやめることは別の話です。引き継ぎは「◯月◯日まで」と期限を区切って提案する方法があります。「後任が決まるまで」という期限のない約束は、いつまでも終わらない状態につながりやすくなります。

感情に訴えられたとき

「裏切りだ」といった言葉を向けられると、罪悪感を覚える方もいます。その気持ち自体は自然ですが、退職は法律上、働く人に認められている選択です。話し合いが感情的になりすぎるときは、日を改めることも一つの方法です。つらさが続くときは、転職活動がつらいとき|気持ちの整え方と、休み方も参考にしてください。

④ 引き止めを断るときの伝え方の流れ

断ると決めた場合、次の順序で伝えると、話が長引きにくくなります。

  1. 感謝を伝える。評価してもらったことや、これまでの経験への感謝を最初に述べる
  2. 結論は簡潔に、ぶらさずに伝える。「考えた末に決めたことで、退職の意思は変わりません」と、迷っているように聞こえない言い方にする
  3. 理由は個人的で前向きなものにまとめる。事実と違う理由を伝えると、後でやり取りがあいまいになりやすいため、嘘は避ける
  4. 条件の話は、深追いせず持ち帰る。検討する場合も、断る場合も、返事の期限を伝える
  5. 引き継ぎと最終出社日の見通しを示す。具体的な日付と、引き継ぎで協力できる内容を添える
  6. 退職の意思を、書面などの形に残す。厚生労働省の案内では、退職の意思を明確に記載した「退職届」を提出して任意退職の申し入れを行うことが無難とされています

断るときの言い方の例です。そのまま使う必要はなく、ご自身の言葉に置き換えてください。

💬 伝え方の例
  • 「評価していただき、ありがとうございます。お気持ちはありがたいのですが、考えた末に決めたことですので、退職の意思は変わりません」
  • 「ご提案の条件は持ち帰って検討しますが、退職の方向で考えています。◯日までにあらためてお返事します」

最終出社日と有給休暇の消化の調整は、内定後の入社時期交渉・有給消化のコツも参考にしてください。

⑤ 法律上の退職のルール|民法第627条・第628条と就業規則

ここでは、e-Gov法令検索で条文を確認し、厚生労働省の案内で補足できる範囲だけを紹介します。個別の事情に当てはめた判断は行いません。

期間の定めのない雇用(無期雇用)の場合

民法第627条第1項は、次のように定めています。

📖 民法 第627条 第1項(2026年10月時点のe-Gov掲載の条文)

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」

厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、会社が退職を認めない姿勢でも、退職届などで申し入れれば、原則として2週間後に労働契約は終了すると説明されています。茨城労働局のQ&Aも、労働者からの退職の申し入れは、使用者の承諾がない場合でも2週間を経過すれば効力が発生するとしています。

なお、月給制など「期間によって報酬を定めた場合」については、同条の第2項・第3項に定めがありますが、2026年10月時点のe-Gov掲載の条文では、これらは使用者からの解約の申入れについて書かれています。厚生労働省のスタートアップ労働条件のQ&Aには、2020年4月施行の民法改正により、月給制・年俸制でも労働者からの辞職の予告期間は一律2週間になったと説明されています。古い案内には別の説明が残っていることがあるため、迷うときは労働局に確認してください。

就業規則との関係

多くの会社の就業規則には「1か月前までに申し出ること」などの定めがあります。この点について、公的な案内では次のように説明されています。

2週間で退職できる場合があっても、引き継ぎを考えると、就業規則の期間に合わせて話し合うほうが進めやすいことが多いようです。

期間の定めのある雇用(有期雇用)の場合

契約社員など、契約期間が決まっている場合は、別のルールがあります。民法第628条は、次のように定めています。

📖 民法 第628条(2026年10月時点のe-Gov掲載の条文)

「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」

厚生労働省の「確かめよう労働条件」でも、契約期間の満了前に退職しようとする場合にはやむを得ない事由がなければならないとされ、事由がないまま退職すると、会社に損害を与えた場合に損害賠償責任を問われるおそれがあると説明されています。ただし、労働基準法第137条(附則)には、期間が1年を超える有期労働契約を結んだ労働者は、契約期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることでいつでも退職できるという定めがあります。高度の専門的知識等を持つ労働者や、満60歳以上の労働者との契約などは、この定めの対象外です。

⑥ 退職届を受け取ってもらえないとき|公的な相談先

退職届を出そうとしても受け取ってもらえない、強い引き止めが続く、といったときの考え方と相談先です。

退職届を出すときに知っておきたいこと

厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、退職の意思を明確に記載した退職届の提出が無難とされています。また、同じ案内では、会社の承諾前であれば撤回できる場合がある合意退職の申込みと違い、任意退職の申入れは、撤回に会社の同意が必要になることがあると説明されています。引き止めで迷っている段階では、退職届を出すタイミングは、気持ちを整理してからのほうが安心です。

会社が受け取らない場合に備え、いつ・誰に・何を渡そうとしたかを残しておく方法もあります。これは一般的な考え方で、具体的な方法は労働局などの窓口でご確認ください。

退職を妨げる行為について

労働基準法第5条は、使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならないと定めています。また、第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めておく契約を使用者がすることを禁じています。「辞めるなら損害賠償を請求する」と言われても、慌てて決断せず、まず下の相談先に確認しましょう。なお、これらの条文が個別のケースに当てはまるかどうかは、この記事では判断できません。

公的な相談先

相談先 厚生労働省の案内より(2026年10月時点で確認)
総合労働相談コーナー 解雇、雇止め、いじめ・嫌がらせなどあらゆる分野の労働問題を対象に、ワンストップで相談や情報提供を行うとされています。予約不要・無料で、プライバシーの保護に配慮するとされています。各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などの378か所に設置され、土・日・祝日・年末年始は閉庁です
労働基準監督署 労働時間・賃金・解雇などの労働条件に関する相談を受け付けています。平日の8時30分から17時15分(祝日・年末年始を除く)とされています。労働基準法等の違反の疑いがある場合は、総合労働相談コーナーから担当部署に取り次がれるとされています
労働条件相談ほっとライン 厚生労働省の委託事業で、無料で電話相談を受け付けています。平日17時から22時、土日・祝日は9時から21時(12月29日から1月3日は休み)とされています。電話番号は、相談窓口一覧のページからご確認ください

厚生労働省の案内では、総合労働相談コーナーでは、個別労働紛争解決制度に基づく「助言・指導」や「あっせん」の案内も行っているとされています。「確かめよう労働条件」では、退職や雇止めの効力など民事的な問題は総合労働相談コーナー、労働基準法に関する問題は労働基準監督署が相談先になると整理されています。弁護士などの専門家に相談する方法もあります。

退職の意思を代わりに伝えてもらう「退職代行」を検討する場合は、退職代行サービスとは?使う前に知っておきたいことで、種類や注意点を整理しています。退職後の失業保険や健康保険などの手続きは退職に伴う手続きと、退職後に使える制度まとめをご覧ください。

⑦ 気持ちが揺れたときの整理と、関連する記事

引き止められて気持ちが揺れたときは、「転職を考え始めた理由」「提示された条件でその理由が解決するか」「内定先で得られそうなもの、失いそうなもの」の3点を紙に書き出すと、整理しやすくなります。一人で考えると堂々巡りになりやすいときは、家族や信頼できる友人、キャリアの相談先に話してみるのも一つの方法です。転職サイト・エージェント・スカウトの使い分けは、同時公開の転職サイト・エージェント・スカウトの使い分けで整理しています。

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退職の進め方や転職活動を、相談先のひとつとして考えたい方へ

引き止めへの対応で迷うときは、一人で抱え込まず、第三者に話してみることも一つの方法です。ユメキャリAgentは、広告主の紹介によると、大手企業の現役の面接官が運営する転職エージェントとのことです。転職活動の進め方を相談したい方は、一度内容を見てみるのも一つの方法です。ただし、退職の法的な扱いやトラブルについては、労働局などの公的な窓口でご確認ください。サービスの内容、対象、利用条件は、公式サイトでご確認ください。

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📌 まとめ

  • 引き止めには、待遇改善(カウンターオファー)、異動・昇進、人手不足や感情に訴えるものなど、いくつかの形がある。応じるか断るかは、状況や価値観によって異なる
  • 条件を提示されたら、その場で答えず持ち帰り、書面などで内容を確認し、転職を考えた理由が解決するかを整理する
  • 断るときは、感謝を伝え、結論を簡潔に、引き継ぎの見通しと最終出社日を添える
  • 無期雇用は、民法第627条第1項により、解約の申入れから2週間で終了するとされている。就業規則との関係は、厚生労働省や労働局の案内も参考にする
  • 有期雇用は、民法第628条の「やむを得ない事由」などの別のルールがある。契約期間が1年を超える場合は、労働基準法第137条(附則)の定めもある
  • 退職届を受け取ってもらえないなど困ったときは、総合労働相談コーナーや労働基準監督署などの公的な窓口に相談できる
参考にした公的機関の情報

※2026年10月時点で確認した内容です。法令や案内は改正・改定されることがあります。最新の情報は、各公式サイトや最寄りの労働局・労働基準監督署の窓口でご確認ください。

※本記事は、退職時の引き止めへの対応と退職のルールについて、公的機関の公表情報をまとめた一般的な情報です。個別の事情に応じた判断や、法律に関するご相談は、総合労働相談コーナー、労働基準監督署、弁護士などの専門窓口にお尋ねください。