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内定承諾書・誓約書とは|サインする前に確認したいことと、内定後の辞退・取り消しの考え方
① 内定承諾書とは|内定・労働条件通知書・誓約書との違い
内定承諾書は、内定を受け入れ、入社する意思を書面で伝える書類として使われることが多いものです。「入社承諾書」「内定受諾書」など呼び名はさまざまで、決まった書式を示した公的資料は確認できませんでした。内容は会社ごとに異なります。
「内定」は、公的資料でどう説明されているか
厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aでは、採用内定に法的な定義はなく、態様もさまざまだとされています。一般的には、働き始める日(始期)が決まっていて、内定通知書や誓約書に書かれた取消事由が生じたときは契約を解約できる権利(解約権)を会社が残した、労働契約を結んだ状態を指すことが多く、内定通知のほかに契約を結ぶための特別な意思表示が予定されていない場合は、この契約が成立したと認められることが多いと考えられている、と説明されています。労働契約は、労働者と使用者が合意することによって成立する(労働契約法第6条、e-Gov法令検索で確認)ため、内定の場面では、この「合意」がいつ成立したと見るかが問題になります。
厚生労働省・労働局の資料(2017年12月)には、結論が分かれる2つの例が紹介されています。成立しているとされた例は、他社への応募を辞退し、会社の求めで入社誓約書を出し、近況報告もしていた場合です。成立していないとされた例は、会社が入社の手続きを進めず、本人も入社の誓約をせず、内定が正式なものではないと認識していた場合です。誓約書の提出は判断材料のひとつですが、複数の事情があわせて見られています。ご自身の内定がどちらに近いかは、この記事では判断できません。
似た名前の書類の違い
| 書類 | 一般的な意味合い(目安) |
|---|---|
| 内定通知書 | 採用を決めたことを、会社が知らせる書類 |
| 労働条件通知書 | 賃金や労働時間などの条件を知らせる書面。労働基準法第15条の明示にあたる(詳しくはこちら) |
| 内定承諾書 | 内定を受け入れ、入社の意思を会社に伝える書類 |
| 誓約書 | 就業規則を守ることや秘密を守ることなどを約束する書類。内定のときにも、入社日にも求められることがある |
1枚の書類が「内定承諾書兼誓約書」のように複数の役割を兼ねることもあります。名前より、何に同意する内容が書かれているかを読むことが大切です。
② 内定承諾書にサインする前に確認したいこと
サインの前に次の点を確認しておくと、あとで「聞いていた話と違う」「意味が分からないまま署名していた」となるのを減らせます。
- 労働条件の書面:労働条件通知書(または同じ内容の書類)を受け取り、求人票や面接で聞いた内容と合っているか
- 提出期限:期限と、延ばせるか。他社の結果を待つときは、期限の前に事情を伝えて相談する
- 内定の条件:内定が見直されうる条件(提出書類、健康状態、経歴の申告内容、必要な資格など)が書かれていないか
- 辞退や取り消しの記載:承諾後の辞退、会社側の取り消しについて、どう書かれているか
- 入社日と今の職場の調整:退職に必要な期間、有給休暇の消化の見通し
- やり取りの記録:意味が分からない言葉は質問し、回答はメールなど書面で残す
労働条件について、厚生労働省のリーフレットは、採用内定によって労働契約が成立する場合には、内定に際して労働条件を明示しなければならない、と説明しています。承諾の返事の前に、条件が書かれた書類を見せてもらえるかを尋ねておくと安心です。見る項目は労働条件通知書の記事に、求人票の読み方は求人票の見方にまとめています。労働契約法第4条第2項も、労働契約の内容は、できる限り書面により確認するものと定めています(e-Gov法令検索で確認)。
複数の内定があるときは複数内定をもらったときの選び方、入社日や有給消化の調整は内定後の入社時期交渉・有給消化のコツ、在職中に進めるか退職後に集中するかは転職活動は在職中・退職後どちらがいい?を参考にしてください。今の職場に退職を申し出る時期について、順序を示した公的な資料は確認できませんでした。一般論としては、労働条件の書面に納得してから進める、という考え方があります。承諾書に「入社日までに前の職場を退職すること」のような条件がある場合もあるので、迷ったら会社に、退職の申し出はどの時点でしてよいかを確認してください。
③ 入社前に求められる誓約書とは|内容の例と、署名の前の確認
誓約書は、厚生労働省が委託して作られた就業規則の解説資料(「中小企業のための就業規則講座」)で、入社にあたり、服務規律などを守ることや、守秘義務を守ることを約束する書面と説明されています。平成20年度の統計に触れているやや古い資料なので、現在の実務と違う部分があるかもしれません。
どんな内容が書かれていることがあるか
誓約書の標準的な文面を示した公的資料は、確認できませんでした。参考として、厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の遵守事項(第11条)には、会社の施設や物品を職務以外の目的で使わない、会社の名誉や信用を損なう行為をしない、在職中も退職後も業務上知り得た機密を漏らさない(秘密保持)などの項目が例として示されています。誓約書にも、同じような項目が含まれることがあります。
このほか、同業他社への転職や起業を一定期間制限する内容(競業避止)や、身元保証人を求める内容が含まれることもあります。先ほどの資料にも、退職後の競業避止には「有効性の問題はある」という趣旨の注意が書かれており、有効かどうかは個別の事情で判断が分かれるため、この記事では判断しません。身元保証については、身元保証ニ関スル法律に、期間を定めない契約は3年間(商工業見習者は5年)、期間は5年を超えられない、との定めがあります(第1条・第2条、e-Gov法令検索で確認)。
署名の前に確認したいこと
- 何のための書類かを聞く:モデル就業規則の解説には、会社が提出させる書類は、その提出目的を労働者に説明するよう書かれています
- 「就業規則を守る」と書いてあれば:就業規則を見せてもらえるか確認する
- あいまいな部分:秘密保持の「秘密」の範囲、競業避止の期間や対象などを具体的に聞き、回答は書面(メール)で残す
内容に納得できないときは、署名の前に会社に確認してください。回答に納得できない、署名を求められて困っているといったときは、署名の前に、第6章の総合労働相談コーナーなどで書類を見せながら相談する方法があります。署名してよいか、内容が有効かといった判断は、この記事ではできません。
④ 内定承諾書を出したあとに辞退したくなったときの考え方
承諾書を出したあとに辞退を考えることもあります。個別の事情で変わる部分が大きく、公的資料で確認できた範囲を整理するもので、結論を示すものではありません。
民法第627条の考え方
民法第627条第1項は、雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができ、雇用は申入れの日から2週間を経過することによって終了すると定めています(e-Gov法令検索で確認)。退職の場面でよく取り上げられる条文で、退職を伝えたら引き止められたときでも整理しています。
厚生労働省のサイト内にある京都新卒応援ハローワークの案内は、内定承諾書を出したあとでも、憲法第22条(職業選択の自由)により、民法第627条に準じて2週間以上前に解約(内定辞退)の申入れをすることは、法的に問題ないと考えられると説明しています。ただし新卒者向けのページで、中途採用にそのまま当てはまるかは、この資料からは分かりません。
厚生労働省のQ&Aは、内定の段階ですでに労働契約が成立していると認められる場合、労働者側からの一方的な破棄は契約違反になりかねず、事由によっては損害賠償責任が課される場合がある、と説明しています。一方で、内定辞退は基本的に問題ないものの、あまりに信義則(お互いに誠実に行動するという考え方)に反するような場合に、損害賠償を求められる可能性もあり得るので、誠実といえるかを考えておく必要がある、とも書かれています。また、労働者の意思に反して働くことを義務づけることはできないため、責任は損害賠償にとどまる、とされています。
つまり、辞退そのものを禁じるものではなく、誠実な対応が前提で、個別の事情によっては損害賠償の話になりうる、という説明です。辞退すれば損害賠償になるという意味でも、どんな辞退でも問題にならないという意味でもなく、どこからが信義則に反するかは、この記事では判断できません。
辞退を考えたときの動き方
- 早めに、誠実に伝える。電話とメールの使い分けや文例は内定辞退の伝え方とマナーにあります。承諾書を出す前なら、返事の期限を延ばせないか相談する方法もあります
- 契約期間が決まっている雇用(契約社員など)は、民法第628条が別に定めています。やむを得ない事由があるときは直ちに契約を解除でき、その事由が当事者の一方の過失によるときは損害賠償の責任を負う、という内容です。期間の定めがある内定の扱いは、窓口で確認してください
- 強い言い方をされた、金銭の話が出たなど不安なときは、一人で判断せず、第6章の窓口に相談する
⑤ 内定取り消しとは|公的資料の考え方と、中途採用の場合
会社の側から内定を取り消される場合の考え方です。万が一のときに落ち着いて動けるよう、整理します。
取り消しは、解雇と同じように考えられている
厚生労働省のQ&Aでは、内定の段階で労働契約が成立しているなら、会社からの内定取り消しは一方的な契約の解消にあたり、解雇としての合理的な理由が必要になる(労働契約法第16条)と説明されています。同条は、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする、と定めています(e-Gov法令検索で確認)。同じQ&Aは、内定取り消しが有効とされるのは、原則として、取消事由が内定当時に知ることができず、知ることも期待できなかった事実であり、それを理由に取り消すことが客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られると考えられる、としています(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決)。
取り消しの理由として挙げられている例
同じQ&Aが理由の例に挙げているのは、契約の前提となる条件や資格の要件を満たさないとき、健康状態の悪化、重要な経歴の詐称、重要な必要書類を提出しないこと、その他の不適格事由、経営状況の悪化です。あてはまれば取り消せるという意味ではなく、面接での虚偽回答を扱った別のQ&Aは、有効かどうかはケースバイケースで一概には決められず、取り消しは重大な事由がある場合に限られるというべきだ、と説明しています。経営状況が理由の場合は、基本的に整理解雇に準じて、人員整理の必要性や解雇を避ける努力など4つの要素を踏まえて判断されると考えられる、とされています。
中途採用の場合は?|確認できた範囲
これらのQ&Aは「労働者」と「使用者」の間の内定として書かれていて、新卒か中途かを分けた説明は見当たりませんでした。大日本印刷事件は、大学を卒業する予定の人が入社の2か月前に取り消された事案です。一方、厚生労働省の裁判例のページには、大手のコンピューター会社に勤務していた人が別の会社からスカウトされて内定を得たあと、経営悪化を理由に取り消された、平成9年の東京地方裁判所の事案も載っています。入社の辞退を勧められたのが2週間前で、すでに前の会社に退社届を出していたことや、会社の対応などを考慮して、取り消しを無効とした、と紹介されていますが、1つの事案の判断で、同じ状況なら同じ結果になるとは限りません。
ハローワークが内定取り消しを把握して企業を指導し、一定の場合に公表できる仕組みも紹介されていますが、公表の目的は学生・生徒等の職業選択とされ、中途採用に同じ仕組みがあるかは書かれていませんでした。中途採用の内定にこれらの考え方がどう当てはまるかは、内定通知の内容、承諾書や誓約書の有無、入社日の見通し、前の職場の退職の進み具合など、個別の事情で見られます。中途採用にも一般にそのまま当てはまる、と言い切れる公的な説明までは確認できませんでした。なお、内々定は、内定とは扱いが異なる場合があるものの、拘束関係の度合いが強ければ内定と認められることもあり得る、とされています。
取り消されたと感じたとき、まず確認したいこと
- 理由を書面で確認する:Q&Aは、内定を取り消されたときは、労働者として、その理由を開示してもらう必要がある、としています。メールなど記録が残る形で尋ねます
- 書類ややり取りを残す:内定通知、承諾書、誓約書、労働条件の書面、メールなど
- 署名はその場で決めない:取り消しを受け入れる書面や辞退届などへの署名を求められても、内容を持ち帰って確認し、必要なら窓口に相談する、という対応も考えられます
⑥ 困ったときの相談先
会社に確認しても解決しないとき、確認しづらいときは、公的な窓口があります(2026年10月時点で厚生労働省の案内を確認)。
| 窓口 | 案内に書かれている内容 |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 各都道府県の労働局や労働基準監督署内などに設置。解雇、募集・採用など労働問題全般が対象で、学生・就活生の相談も受け付ける。面談または電話で、予約不要・無料。土日祝日・年末年始は閉庁。法律違反の疑いがある場合は、労働基準監督署などの担当部署に取り次ぐ |
| 個別労働紛争解決制度 | 労働局長による「助言・指導」と、紛争調整委員会による「あっせん」があり、どちらも無料。申込みは総合労働相談コーナーで受け付ける。「募集・採用に関する紛争」は、助言・指導の対象にはなるが、あっせんの対象にはならないと案内されている |
茨城労働局のQ&Aは、内定の取り消しをめぐってトラブルになっているときに、個別労働紛争解決制度の利用を案内しています。どちらの対象になるかは、この記事では判断できないので、まず総合労働相談コーナーで相談してみてください。希望すれば、裁判所、都道府県の労働委員会、法テラスなどの情報提供も受けられます。相談するときは、内定通知書、承諾書・誓約書、労働条件の書面、メールの履歴などを整理して持っていくと、状況を伝えやすくなります。窓口の場所や電話番号は、厚生労働省のページで確認できます。
職場のトラブルをきっかけに転職を考えているときの窓口の使い方は職場のハラスメントで転職を考えるときでも整理しています。決める前の確認は転職して後悔しないために、入社時に会社へ出す書類は入社時に必要な書類と手続きを参考にしてください。
承諾書にサインする前や、承諾後に迷いが出たときに、第三者に話を聞いてもらうことも、相談先のひとつです。広告主の紹介によると、ユメキャリAgentは、大手企業の現役の面接官が運営する転職エージェントです。ただし、内定の取り消しや辞退の扱いなど、法律にかかわる判断は、エージェントではなく、労働局の総合労働相談コーナーなどの公的な窓口でご確認ください。サービスの内容や対象、利用の条件は、公式サイトでご確認ください。
ユメキャリAgentについて見てみる →📌 まとめ
- 内定承諾書は、内定を受け入れて入社の意思を伝える書類で、決まった書式は確認できず会社ごとに異なる。内定で労働契約が成立しているかは、承諾書の有無だけでなく、内定通知の内容やその後のやり取りなど、事情をあわせて見ると説明されている
- サインの前に、労働条件の書面との一致、提出期限、内定の条件、辞退や取り消しの記載、入社日と今の職場の調整を確認し、質問と回答は書面で残す
- 誓約書は、服務規律や守秘義務などを約束する書面と説明されている。標準的な文面を示した公的資料は確認できず、納得できないときは署名の前に会社に確認する
- 承諾後の辞退について、民法第627条は、期間を定めない雇用は申入れから2週間で終了すると定める。厚生労働省のQ&Aは、辞退は基本的に問題ないとしつつ、信義則に反する場合は損害賠償を求められる可能性もあり得るとしている
- 内定の取り消しは解雇と同じように考えられ、労働契約法第16条の適用があるとされる。中途採用にそのまま当てはまると言い切れる公的な説明は、確認できなかった
- 困ったときは、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)へ。個別の判断は窓口で確認する
- e-Gov法令検索「労働契約法」(第4条・第6条・第16条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 - e-Gov法令検索「民法」(第627条・第628条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - e-Gov法令検索「労働基準法」(第15条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 - e-Gov法令検索「身元保証ニ関スル法律」(第1条・第2条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/308AC1000000042 - 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q4.html - 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「面接での虚偽回答は、内定取消の理由になりますか?」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q8.html - 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例「採用内定の取消」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/saiyo/torikeshi.html - 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について」(2017年12月)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/201712_saiyounaitei.pdf - 茨城労働局「内定が取消された」
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/shurouchu/worker_a/qa_wnaitei.html - 京都新卒応援ハローワーク「内定後のこと」(新卒者向けの案内)
https://jsite.mhlw.go.jp/nisizinkarasumaoike-kyoto-plaza/home/shinsotsu/kyu-shoku/kosokoso_00003.html - 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)
https://www.mhlw.go.jp/content/001620507.pdf - 厚生労働省委託 全国社会保険労務士会連合会「中小企業のための就業規則講座」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/15.pdf - 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html - 厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html
※2026年10月時点で確認した内容です。公開されている資料や法令は更新されることがあります。京都新卒応援ハローワークの案内や、大日本印刷事件に関する説明は新卒採用を前提にしたものです。最新の情報や、ご自身の場合の扱いは、お住まいの地域の労働局の窓口でご確認ください。
※本記事は、内定承諾書・誓約書・内定の取り消しについて、公的機関が公表している情報を整理した一般的な説明です。個々の書類の有効性、辞退や取り消しの適否の判断、法律相談は行っていません。ご自身の場合は、労働局の総合労働相談コーナーなどの窓口でご確認ください。