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転職すると年収は上がる?下がる?|厚生労働省の雇用動向調査で見る、転職入職者の賃金の変動
① この調査は何を調べたもの?|「転職入職者」と「賃金の変動」の意味
雇用動向調査は、厚生労働省が行っている統計調査です。会社などに入った人(入職者)と辞めた人(離職者)の状況を調べ、産業・規模・職業・地域の間で、働く人がどのように移り動いているかを明らかにすることを目的としています。令和7(2025)年の結果は、上半期と下半期の調査を合わせた年間の結果として、2026年8月31日に公表されました。2026年10月時点で確認できた、最新の年間の結果です。
調査の対象と方法
対象は、日本標準産業分類の16の大産業(建設業、製造業、情報通信業、医療,福祉など)に属し、5人以上の常用労働者を雇用する事業所です。そこから無作為に選ばれた約15,000の事業所に、令和7年中に入職した常用労働者のなかから、無作為に選ばれた人が「入職者票」という調査票に自分で回答します。令和7年の入職者調査で集計された入職者は57,896人です(新規学卒者など、転職以外の入職者も含みます)。「常用労働者」とは、期間を定めずに雇われている人、または1か月以上の期間を定めて雇われている人のことです。
「転職入職者」と「賃金の変動」
- 転職入職者:入職者のうち、入職前の1年間に就業経験がある人です(内職や1か月未満の就業は含めません)。正社員の転職だけでなく、パートタイム労働者の移動も含みます。令和7年の転職入職者は5,061.8千人(約506万人)で、内訳は、一般労働者が3,177.3千人、パートタイム労働者が1,884.5千人です。「一般労働者」は、パートタイム労働者以外の常用労働者のことで、正社員に限られません
- 賃金の変動:入職者票の問17「直前の勤め先と比べて賃金はどう変わりましたか。」に、本人が選んで答えたものです。選択肢は「3割以上増加」「1割以上3割未満増加」「1割未満増加」「変わらない」「1割未満減少」「1割以上3割未満減少」「3割以上減少」の7つです。概況では、「増加」「変わらない」「減少」と、1割を境にした区分で公表されています
- 数字の対象:この記事で紹介する賃金変動の表は、転職入職者のうち、前の仕事が雇用者で、調査の時点で今の勤め先に在籍している人についての集計です。自営業からの転職は含まれません
② 令和7年の結果|増えた人・変わらない人・減った人の割合
令和7(2025)年の1年間に転職して入職した人が、前の勤め先の賃金と比べてどうなったかは、次のとおりです。
| 前の勤め先と比べた賃金 | 割合 | うち内訳 |
|---|---|---|
| 増加 | 40.8% | 1割以上の増加 28.2%/1割未満の増加 12.6% |
| 変わらない | 25.5% | ― |
| 減少 | 31.0% | 1割未満の減少 9.2%/1割以上の減少 21.9% |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表6。賃金の変動が不明の人がいることや、数値が四捨五入されていることから、各区分を足しても100%にならない場合があります。
- 「増加」は40.8%で、「減少」の31.0%を9.8ポイント上回っています。概況でも、この差が示されています
- 一方で、「減少」も約3割あります。1割以上減った人は21.9%です
- 「変わらない」も25.5%で、約4分の1です
- 1割以上増えた人は28.2%、1割以上減った人は21.9%です。増える人にも減る人にも、幅の大きい人がいます
前年の令和6(2024)年は、「増加」40.5%、「変わらない」28.4%、「減少」29.4%でした。令和7年は、「増加」が0.3ポイント、「減少」が1.6ポイント上がり、「変わらない」は2.9ポイント下がっています。「1割以上の増加」は29.4%から28.2%へ、1.2ポイント下がりました。
まとめると、増える人も、変わらない人も、減る人もいる、というのがこの数字から読み取れることです。「増加」の割合が「減少」より高いことは事実ですが、これは、あなたが転職したときに賃金が増えやすいことを意味するわけではありません。
③ 年齢階級別・雇用形態別に見ると
年齢階級別(令和7年)
入職したときの年齢(満年齢)の階級ごとに見ると、次のとおりです。
| 年齢階級 | 増加 | 変わらない | 減少 | 増加−減少(ポイント) |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 40.8% | 25.5% | 31.0% | 9.8 |
| 19歳以下 | 63.6% | 18.2% | 15.4% | 48.2 |
| 20〜24歳 | 55.2% | 19.9% | 17.5% | 37.7 |
| 25〜29歳 | 49.8% | 25.0% | 23.9% | 25.9 |
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% | 19.6 |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | 19.6 |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% | 17.5 |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% | 11.0 |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% | −12.6 |
| 55〜59歳 | 25.5% | 33.0% | 38.9% | −13.4 |
| 60〜64歳 | 21.1% | 24.2% | 54.3% | −33.2 |
| 65歳以上 | 22.2% | 33.4% | 42.3% | −20.1 |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表6。自営業からの転職は含みません。賃金の変動が不明の人がいるため、3つの割合を足しても100%にならない場合があります。
- 19歳以下から45〜49歳までの階級では、「増加」が「減少」を上回っています。25〜29歳から45〜49歳では、「増加」が41.1〜49.8%、「減少」が23.9〜30.1%の範囲にあります
- 50歳以上の階級では、逆に「減少」が「増加」を上回っています。そのうち「1割以上の減少」は、50〜54歳で28.3%、55〜59歳で30.6%、60〜64歳で47.6%、65歳以上で34.2%です
- 年齢が上がると「増加」の割合は低めになる傾向が見られますが、40〜44歳(44.9%)が35〜39歳(43.5%)をわずかに上回るなど、きれいに下がっていくわけではありません
なお、50〜54歳は、令和6年は「増加」39.0%、「減少」28.2%で、「増加」が上回っていました。令和7年は「増加」29.4%、「減少」42.0%で、前年から「増加」が9.6ポイント下がり、「減少」が13.8ポイント上がっています。年や年齢階級によって、数字は大きく動くことがあります。60代前半の「減少」の割合の高さについては、この調査の数字から理由までは分かりません。
雇用形態別(令和7年)
前の仕事と今の仕事で雇用形態が同じ区分だった人に限った集計もあります。
| 前の仕事 → 今の仕事 | 増加 | 変わらない | 減少 | 増加−減少(ポイント) |
|---|---|---|---|---|
| 一般労働者 → 一般労働者 | 42.0% | 25.0% | 31.5% | 10.5 |
| (うち)雇用期間の定めなし → 雇用期間の定めなし | 44.5% | 25.0% | 29.0% | 15.5 |
| パートタイム労働者 → パートタイム労働者 | 39.0% | 34.2% | 21.8% | 17.2 |
| 雇用期間の定めなし → 雇用期間の定めなし | 45.1% | 25.3% | 28.3% | 16.8 |
| 雇用期間の定めあり → 雇用期間の定めあり | 34.9% | 31.1% | 27.9% | 7.0 |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表7。就業形態(一般労働者・パートタイム労働者)が前の仕事と異なる人は除いています。上から2行目の「(うち)」は、1行目の一般労働者のうち、雇用期間の定めのない人どうしの移動です。
雇用期間の定めがある人どうしの移動では、「増加」が34.9%と、表のなかで最も低くなっています。「変わらない」は31.1%で、一般労働者どうしの25.0%より多めです。パートタイム労働者どうしの移動では、「変わらない」が34.2%と多く、「減少」は21.8%と、表のなかで最も低くなっています。ただし、雇用形態が変わった場合(たとえば、雇用期間の定めありから定めなしへ)の数字は、この概況では確認できませんでした。
性別・産業別・職種別は?
今回確認した概況には、性別・産業別・職種別の賃金変動の数字は載っていませんでした(e-Statの統計表に別の集計があるかどうかは、今回は確認できていません)。そのため、この記事では取り上げていません。
④ 10年間の推移|年によって変わる
概況には、「増加」と「減少」の割合の推移が、平成28(2016)年から令和7(2025)年まで示されています。
| 年 | 増加 | 減少 |
|---|---|---|
| 平成28(2016)年 | 35.3% | 34.2% |
| 平成29(2017)年 | 36.4% | 33.0% |
| 平成30(2018)年 | 37.0% | 34.2% |
| 令和元(2019)年 | 34.2% | 35.9% |
| 令和2(2020)年 | 34.9% | 35.9% |
| 令和3(2021)年 | 34.6% | 35.2% |
| 令和4(2022)年 | 34.9% | 33.9% |
| 令和5(2023)年 | 37.2% | 32.4% |
| 令和6(2024)年 | 40.5% | 29.4% |
| 令和7(2025)年 | 40.8% | 31.0% |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」図5(グラフに示された数値)。
平成28〜30年は「増加」が「減少」を上回り、令和元〜3年(2019〜2021年)は「減少」が「増加」を上回っていました。令和4年以降は「増加」が上回り、令和6年と令和7年は、この10年間で「増加」の割合が最も高い2年になっています。一方、令和7年の「減少」は、前年の29.4%から31.0%に上がりました。
こうした推移の背景は、この調査の数字だけでは分かりません。ただ、「減少」が「増加」を上回っていた年もあることから、今の数字がこの先も同じとは限らないと考えておくほうが安全です。
⑤ 数字を読むときの注意|「賃金」は「年収」と同じとは限らない
ここまでの数字を、自分の転職に当てはめて考える前に、次の点を確認しておいてください。
- 金額ではなく、人の割合です。「増加が40.8%」は、年収が40.8%上がったという意味ではなく、前の勤め先より賃金が増えた人が、転職した人の40.8%だったという意味です。増えた幅は、1割未満の人も1割以上の人もいます
- 「賃金」の範囲を、今回確認した資料では確認できませんでした。質問は「直前の勤め先と比べて賃金はどう変わりましたか」で、調査票・概況・用語の解説には、賞与や残業代、各種手当を含めて答えるのか、月給で答えるのかといった説明は見つかりませんでした(調査票の記入要領などに説明がある可能性はありますが、今回は確認できていません)。求人票の「年収」とは別のものと考えてください。求人票の読み方は求人票の見方、額面と手取りの違いは給与明細の見方の記事で整理しています
- 転職しなかった場合との比較ではありません。前の勤め先と、今の勤め先の比較です。前の勤め先に残っていたら賃金がどうなっていたかは、この数字からは分かりません
- 対象が限られています。自営業からの転職は含まれず、調査の時点で今の勤め先に在籍していない人も、この集計には含まれません。事業所は、5人以上の常用労働者を雇う、16の産業の事業所です
- 満足度や、転職してよかったかどうかを尋ねたものではありません。賃金が増えても、仕事の内容や働き方が合わなかった人や、賃金が下がっても納得して選んだ人も、この数字のなかにいます。決める前の確認は、転職して後悔しないためにの記事に整理しています
- 本人の回答にもとづく、標本調査の推計値です。給与明細などの金額を集めた統計ではなく、調査の一部の人の回答を全体に引き伸ばした数字で、四捨五入もされています。小さな違いに大きな意味を読み取らないでください
⑥ 年収の増減に関わる一般的な観点
この調査は、年収が増減した理由や、要素ごとの影響までは示していません。ここからは公的な統計の数字ではなく、転職で年収を比べるときに、一般的に確認しておきたい観点の整理です。どの要素がどの程度影響するかは、人や求人によって異なり、断定はできません。
| 観点 | 確認したいこと |
|---|---|
| 業界・職種 | 同じ職種でも、業界や会社の規模によって、賃金の水準が違うことがあります。職種を変えるときは、これまでの経験がどう評価されるかも変わる場合があります |
| 年齢・経験・役割 | 経験の年数、担当する役割、求められる専門性によって、提示される条件が変わることがあります。年代ごとの考え方は、転職で年齢は不利になる?、30代の転職、40代の転職の記事で整理しています |
| 雇用形態・働く時間 | 正社員、契約社員、パートタイムなど雇用形態や、1日・1週間の所定労働時間が変わると、月給・時給・年収の見え方が変わります |
| 賞与(ボーナス) | 支給の有無、算定の方法、入社1年目の扱い、年収の表示に含まれているかどうかを確認します |
| 残業代・固定残業代 | 求人票の月給や年収に、一定時間分の残業代(固定残業代)が含まれている場合があります。含まれているときは、その時間数や金額を確認します。求人票の見方の記事に整理しています |
| 手当・福利厚生・退職金 | 通勤手当、住宅手当、家族手当、退職金制度の有無など、月給や年収の数字に表れにくい部分があります |
| 勤務地・休日・働き方 | 転勤の有無、年間休日、残業の見込み、在宅勤務の可否によって、時間あたりで見たときの条件が変わります |
⑦ 年収を比べるとき、確認できること
自分の場合を考えるときにできることを、順番に挙げます。「こうすれば年収が上がる」という方法ではなく、比べ方の整理です。
- 前の職場と候補の会社を、同じ基準で並べる。月給(額面)、賞与、残業代や固定残業代の扱い、各種手当を別々に書き出し、「何を含む年収なのか」をそろえて比べます
- 額面だけでなく、手取りでも考える。求人票の金額は税引き前です。社会保険料や税金が引かれて、実際に受け取る金額は変わります。給与明細の見方の記事で整理しています
- 求人票と、内定後の労働条件通知書で書面を確認する。固定残業代、賞与の記載、試用期間中の条件など、気になる点は応募先に質問します。求人票の見方、内定後の労働条件通知書の確認ポイントの記事をご覧ください
- 年収の希望や、交渉の考え方を整理する。伝えるタイミングや準備については、転職の年収交渉のコツの記事にまとめています
- 年収以外の条件も並べる。休日や有給休暇(転職先の有給休暇はいつから?)、勤務地、仕事の内容、働き方なども、同じ表に入れて見比べます
どの条件を重視するかは、ご自身の状況によって異なります。年収が上がるか下がるかだけで決めるのではなく、書面で確認できた条件を並べて、納得できるかどうかで判断してください。
転職後の年収の見え方は、賞与や固定残業代の含み方などによっても変わります。比べ方に迷ったとき、相談先のひとつとして、転職エージェントに話を聞いてみる方法もあります。広告主の紹介によると、ユメキャリAgentは、大手企業の現役の面接官が運営している転職エージェントです。サービスを利用したときの年収の増減は、この記事では示せません。ハローワークなどの公的な窓口とも見比べて選んでください。サービスの内容や対象、利用条件は公式サイトでご確認ください。
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- 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査」で、転職入職者の賃金が前の勤め先と比べてどう変わったかは、「増加」40.8%・「変わらない」25.5%・「減少」31.0%。「1割以上の増加」は28.2%、「1割以上の減少」は21.9%
- 「増加」が「減少」を9.8ポイント上回るが、減った人も約3割いる。増える人も、変わらない人も、減る人もいるというのが数字から読み取れること
- 年齢階級別では、19歳以下〜45〜49歳は「増加」が「減少」を上回り、50歳以上は「減少」が「増加」を上回る。年によって数字は動き、50〜54歳は前年と逆の傾向だった
- 10年間の推移では、令和元〜3年は「減少」が「増加」を上回っていた。令和6・7年は「増加」の割合が高い2年
- 数字は金額ではなく人の割合で、本人の回答にもとづく。「賃金」の範囲は、確認できた資料では示されておらず、求人票の「年収」とは別。個人の転職後の年収を示すものではない
- 年収の見え方は、業界・職種・雇用形態・賞与・固定残業代・手当などで変わる。前の職場と候補を同じ基準で並べ、額面と手取りの両方、書面の条件を確認する
- 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表・表6、表7、図5、調査の概要、用語の定義)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaikyou.pdf - 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概要」(結果の概要のページ)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/index.html - 厚生労働省「令和7年雇用動向調査 入職者票(調査票)」(問17の設問文と選択肢)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/r07-nyuusyoku.pdf - 厚生労働省「雇用動向調査」(調査のトップページ)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html - 厚生労働省「雇用動向調査」用語の解説・集計推計方法・利用上の注意
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1b.html
※2026年10月時点で確認した内容です。統計は毎年更新されます。この記事の数字は、令和7(2025)年の結果の概況に載っているものだけを使っています。最新の情報は、各公式サイトでご確認ください。
※本記事は、公的な統計の数字を整理した内容です。個別の転職後の年収を予測するものではなく、年収や条件についての助言や、法律相談は行っていません。ご自身の場合は、応募先の書面や公的な窓口でご確認ください。