【PR】この記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
育休中に転職・退職を考えるとき|育児休業給付金・社会保険・復職の扱いの基本
① 育休中の転職・退職で、まず整理したいこと
育休中に今後のことを考えるとき、道は大きく復職する、育休中に退職して転職活動をする、在籍したまま転職活動を進め、決まったら退職するの3つに分けられます。どれが正解ということはありませんが、「いつ退職するか」「いつ次の職場に入るか」で、使える制度や手続きが変わります。
この記事に出てくる主な制度は、次の4つです。
- 育児休業給付金:雇用保険から支給される、育児休業中の給付です
- 社会保険料の免除:産前産後休業・育児休業等の間、健康保険・厚生年金保険の保険料が免除される制度です
- 出産手当金:出産のために仕事を休み、給与が受けられないときに、健康保険から支給される給付です
- 妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止:男女雇用機会均等法に定めがあります
育児休業給付の分野は、2025年4月に出生後休業支援給付金などが新設されるなど、近年変更が続いています。2026年10月時点の案内をもとにしています。
② 育児休業給付金のしくみ(金額と条件)
厚生労働省の「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版のリーフレット)と「Q&A~育児休業等給付~」(令和8年8月版)で確認できた範囲で、基本を整理します。
金額の考え方
育児休業給付金は、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×給付率」で計算されます。給付率は、育児休業の開始から180日目までが67%、181日目以降が50%です。「休業開始時賃金日額」は、育休に入る前の6か月間の賃金の総額を180で割った額が原則です。上限と下限があり、令和9年7月31日までの額は次のとおり示されています(支給日数30日の場合)。
| 項目 | 案内に示されている額 |
|---|---|
| 休業開始時賃金日額の上限・下限 | 上限16,540円/下限3,203円 |
| 給付率67%(30日分) | 支給上限額332,454円/支給下限額64,380円 |
| 給付率50%(30日分) | 支給上限額248,100円/支給下限額48,045円 |
これは上限・下限の目安であり、実際の額は、ご自身の賃金や休業中に支払われた賃金によって変わります。賃金が支払われた場合は、支給額が減ることがあります(支給下限額は、育児休業期間を対象とした賃金が支払われなかった場合の額とされています)。なお、2025年4月に新設された出生後休業支援給付金(給付率13%)は、一定の要件を満たす場合に上乗せされる別の給付です。この記事では詳しく扱いません。
主な支給要件
リーフレットでは、育児休業給付金の支給要件として次のような点が示されています。
- 雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得したこと(延長の場合などの例外があります)
- 休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月)が12か月以上あること。過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降のものに限られます
- 1支給単位期間(休業開始から1か月ごとの期間)の就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)であること
申請は、原則として事業主(勤務先)が手続きを行う形で案内されています。
③ 育休中に退職すると、給付金はどうなる?
多くの方が一番気にされる点です。厚生労働省のQ&A(Q50・Q51)と、ハローワークの案内で確認できた内容は次のとおりです。
- 育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金とされています
- 育児休業の当初からすでに退職を予定している場合は、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の支給対象にならないとされています
- 育児休業給付金の受給資格の確認後に退職することになった場合は、支給対象になるとされています
- 支給対象期間中に退職した場合は、その退職日(離職日)まで支給対象になります。この取扱いは2025年(令和7年)4月1日以後に退職した方からです。それ以前の退職では、退職日を含む支給単位期間の1つ前の期間までが対象でした
- 受給資格確認の時点で退職が予定されていた場合を除き、それまでに受け取った給付金を返金する必要はないとされています
つまり、退職すると、退職日より後の分は支給の対象にならなくなります。育児休業給付金は在職中の雇用保険の被保険者に対する給付で、育休が終わった後に復職することを前提にしているためです。退職日をいつにするかで、最後に支給される分の範囲が変わります。具体的な支給日や金額は、ハローワークに確認してください。
なお、退職後に基本手当(失業保険)を受けるときは、妊娠・出産・育児ですぐに働けない場合に受給期間を延ばせる場合があるなど、別の制度が関わります。詳しくは退職に伴う手続きの記事をご覧ください。会社から退職を引き止められて迷う場合は、退職を伝えたら引き止められたときに、法律上の退職のルールをまとめています。
④ 社会保険料の免除と、出産手当金の扱い
産休・育休中の社会保険料の免除
日本年金機構の案内では、事業主が申出をすることで、産前産後休業・育児休業等をしている間の健康保険・厚生年金保険の保険料が、本人負担分・事業主負担分ともに免除されるとされています。免除の期間は、育児休業等を開始した日の属する月から、終了した日の翌日が属する月の前月までです。開始した月に14日以上取得した場合は、その月も免除の対象になります(2022年10月1日以降に開始した育児休業等)。また、免除を受けても、健康保険の給付は通常どおり受けられ、免除された期間分も将来の年金額に反映される、と案内されています。
この免除は、あくまで休業中の在籍者を対象にした仕組みです。退職して育児休業等ではなくなると、その後の保険料は、加入先(転職先の健康保険・厚生年金保険、あるいは国民健康保険・国民年金など)で異なります。退職日の翌日から14日以内が原則とされる切り替えの手続きは、退職に伴う手続きの記事で整理しています。国民年金に加入する場合の保険料の扱いは、市区町村の窓口でご確認ください。
出産手当金|退職後の扱い
協会けんぽの案内では、出産手当金は、出産日(遅れた場合は出産予定日)以前の42日(多胎妊娠は98日)から、出産日の翌日以降56日までの間で、仕事を休み給与が受けられなかった日を対象に支給されるとされています。1日あたりの額は、支給開始日の前12か月間の標準報酬月額の平均額を30日で割った額の3分の2が目安です(12か月に満たない場合は、低いほうの平均額を使う)。
退職したあとも引き続き出産手当金を受けられる場合の条件として、協会けんぽは次の2つを示しています。
- 資格喪失日の前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間があること(任意継続被保険者だった期間を除く)
- 資格喪失時に、出産手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること
また、退職日に出勤すると、この条件を満たさず、退職日の翌日以降の分は支払われないとされています。産休中に退職を考える場合は、退職日の決め方で受け取れる範囲が変わることがあるので、退職の日を決める前に、加入している健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に確認しておくと安心です。出産育児一時金については、この記事では扱いません(公的な原文で確認しきれていないため)。
年の途中で退職・転職したときの住民税や年末調整は年の途中で転職したときの税金、退職金や企業型DCは転職・退職のときの退職金と企業年金で整理しています。
⑤ 育休中に転職活動をするときの注意点
「育休中に転職活動をしてもよいのか」「会社に知られるのか」と心配される方もいます。この記事で確認した公的な案内の範囲では、育休中の転職活動そのものについて一律の決まりを示したものは見つかりませんでした。一般論としては、次の点を確認しておくと安心です。
- 就業規則の確認:副業・兼業や、在職中の他社での勤務についての定めがないか。育児休業の規定に、休業中の就労の扱いが書かれている場合もあります
- 面談・面接の時間の使い方:応募書類の作成や面接、情報収集そのものと、賃金が支払われる就業とは分けて考えます
- 勤務先に知らせるかどうか:伝える義務の有無は、就業規則や雇用契約の内容によります
育休中に別の会社などで働いた場合には注意が必要です。厚生労働省のQ&A(Q33・Q34)では、育休中の就業が臨時・一時的で、就業後も育休を続けることが明らかであれば、職場復帰とはせず、支給要件を満たせば給付金の対象になりうるとされています。ただし、1支給単位期間の就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)であることが必要で、在職中の事業所以外で就業した分も含まれると案内されています。また、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われた支給単位期間は、給付金が0円になります。短期のアルバイトなども該当する可能性があるため、始める前にハローワークで確認してください。
⑥ 内定が出たとき|妊娠・出産・育児中であることの伝え方
法律にある「不利益取扱いの禁止」
男女雇用機会均等法の第9条第3項には、事業主は、雇用する女性労働者が妊娠・出産したことや、産前産後休業を請求・取得したことなどを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない、という趣旨の定めがあります。また、第4項は、妊娠中の女性労働者と出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇は、無効とする(ただし、事業主が妊娠・出産などを理由とする解雇でないことを証明したときは除く)と定めています(e-Gov法令検索で確認)。
ただし、この条文は「雇用する労働者」についての定めです。採用選考の場面で妊娠・出産・育児中であることがどう扱われるかは、この条文の範囲では確認できませんでした。気になる場合は、都道府県労働局の相談窓口に確認してください。
伝え方の考え方
妊娠・出産・育児中であることを、いつ、どの程度伝えるかは、ご本人が決めることです。一般論として、入社日の見通しや、入社後の働き方(短時間勤務、保育園の送迎などで調整が必要な時間帯)、育児休業を取る予定があるかどうかなどは、入社前に話し合っておくとあとの食い違いが減りやすいとされます。ブランクの説明のしかたは職歴にブランクがあるときの伝え方も参考になります。
また、転職先で新たに育児休業を取りたい場合は、転職先の就業規則での扱いや、育児休業給付金の要件(第2章の被保険者期間の条件など)を入社前に確認しておくとよいでしょう。前の勤務先での期間の扱いは、ハローワークで確認してください。入社時に必要な書類は入社時に必要な書類と手続きに整理しています。
⑦ 育休明けの復職と転職を、制度の面から比べる観点
復職と転職のどちらがよいかは、仕事の内容、職場の環境、家庭の状況など、お金や制度以外の要素で決まることがほとんどです。ここでは、制度の面だけを並べます。どちらが得か、という判断はしません。
| 観点 | 育休後に復職する | 育休中・育休後に退職して転職する |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 育児休業の期間に、要件を満たす範囲で支給される | 退職日(離職日)までの分が支給対象。退職日より後は対象外。当初から退職予定の場合は対象外とされる |
| 社会保険料の免除 | 休業中は、本人・事業主負担分ともに免除される場合がある | 退職後の保険料は、転職先の加入状況や国民健康保険・国民年金によって変わる |
| 出産手当金 | 休業中の在籍が前提。要件を満たす範囲で支給 | 退職後も受けられる条件がある(1年以上の被保険者期間など)。退職日の出勤に注意 |
| 新しい育児休業・給付 | 在職中の勤務先で、続けて取得できる場合がある | 転職先での育休の扱いや、給付金の被保険者期間の要件は、入社前に確認が必要 |
| 手続きの窓口 | 勤務先を通じて手続きすることが多い | 退職・入社の両方の手続き。ハローワーク、年金事務所、健康保険、市区町村など |
迷ったときは、次の3つを書き出してみると整理が進みやすくなります。
- 退職日をいつにするか(給付の対象範囲が変わるため)
- 入社日をいつにするか(社会保険の切り替えの空白を作らないため)
- 誰に、いつ確認するか(ハローワーク、年金事務所、健康保険、勤務先、転職先)
「決めきれない」「不安が大きい」ときは、一人で抱え込まないでください。気持ちの整理は転職活動がつらいとき、決める前の確認は転職して後悔しないためにも参考にしてください。
今後の働き方を一人で考えて不安になったときの、相談先のひとつとして、転職エージェントに話を聞いてみる方法もあります。ユメキャリAgentは、広告主の紹介によると、大手企業の現役の面接官が運営する転職エージェントとのことです。ただし、育児休業給付金や社会保険の扱いは、退職の時期や雇用の状況によって決まり、ハローワークなどが判断します。サービスの利用が給付に影響するかどうかを含め、公的な窓口でご確認ください。サービスの内容、対象、利用条件は、公式サイトでご確認ください。
ユメキャリAgentについて見てみる →📌 まとめ
- 育児休業給付金は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金とされている。育休の当初から退職の予定がある場合は対象外とされる
- 給付率は、育休開始から180日目までが67%、181日目以降が50%。休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円(令和9年7月31日までの額)
- 受給資格確認後に退職することになった場合は支給対象となり、2025年4月1日以後の退職では退職日(離職日)までが支給対象。受給済みの分は、受給資格確認時点で退職が予定されていた場合を除き、返金不要とされている
- 社会保険料の免除は、産休・育休中の制度。退職後は加入先によって保険料の扱いが変わる。出産手当金は、一定の条件を満たせば退職後も受けられるが、退職日の出勤などに注意が必要
- 育休中に他で就業すると、日数・賃金によっては給付金に影響する。始める前にハローワークで確認する
- 妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止は均等法第9条に定めがある。個別のことは、窓口で確認する
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(リーフレット・2026(令和8)年8月1日改訂版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf - 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(令和8年8月版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001551858.pdf - 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(Webページ版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html - 岩手労働局・ハローワーク「育児休業給付を受給中に離職した皆さまへ」
https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/002218238.pdf - 厚生労働省・都道府県労働局「育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」(リーフレット・令和7年度版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001578392.pdf - 日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20140327-05.html - 協会けんぽ「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311/ - e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(第9条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
※2026年10月時点で確認した内容です。給付の上限額などは毎年8月1日に改定されます。制度や案内は改正・改定されることがあります。最新の情報は、ハローワーク・年金事務所・健康保険の窓口、勤務先でご確認ください。
※本記事は、育児休業・産休中の転職や退職にかかわる制度について、公的機関の案内を整理した内容です。個別の支給可否や金額の判断・計算、法律相談は行っていません。ご自身の場合は、各窓口でご確認ください。