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退職後の国民健康保険と国民年金|失業したときの保険料の軽減・免除の制度
① 退職後の健康保険と年金|まず選択肢を整理する
退職日の翌日に次の会社へ入社しない場合、健康保険は「任意継続」「国民健康保険」「家族の被扶養者」のいずれか、年金は国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を納める)か、配偶者の扶養に入る第3号被保険者(自分では納めない)になるのが一般的です。全体像は退職に伴う手続きの記事、育休・産休中に退職する場合は育休中に転職・退職を考えるときで整理しています。
| 選択肢 | 公的な案内で確認できた点 | 軽減・免除との関係 |
|---|---|---|
| 任意継続 | 協会けんぽの案内では、退職日の翌日から20日以内に申請します | 次章からの「軽減」は国民健康保険の制度です。任意継続の保険料は、加入していた健康保険に確認してください |
| 国民健康保険 | 市区町村の窓口で加入の届出をします。江戸川区の案内では退職後14日以内です | 離職の理由によっては、保険料の軽減の対象になる場合があります |
| 家族の扶養 | 日本年金機構の案内(2026年9月30日更新)では、被扶養者の年間収入は原則130万円未満などの条件があります。雇用保険の失業等給付も収入に含まれ、基本手当(日額3,612円以上)の支給が始まると扶養削除の届出が必要とされています | 年金は第3号被保険者になり、自分では保険料を納めません。条件は加入先の健康保険で異なる場合があるため、家族の勤務先に確認してください |
保険料は、どの方法でも前職の給与、住んでいる自治体、家族の人数などで変わります。この記事では、金額を比べたり、どれが有利かを判断したりはしません。
② 国民健康保険の「非自発的失業者の軽減」とは
自治体の案内では、倒産や解雇などで失業した方(特定受給資格者)や、正当な理由のある自己都合などで離職した方(特定理由離職者)が国民健康保険に入る場合、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算する軽減制度があるとされています(江戸川区・杉並区の案内)。保険料そのものが30%になるのではなく、計算に使う「前年の給与所得」を30%とする仕組みです。
この仕組みは、e-Gov法令検索で確認した国民健康保険法施行令の第29条の7の2(現行の条文)に定めがあります。対象は雇用保険法の「特定受給資格者」と「特定理由離職者であって受給資格を有するもの」、期間は離職の日の翌日の属する年度の翌年度の末日までです。雇用保険法では、特定受給資格者は、倒産や事業の縮小・廃止に伴う離職、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)など(第23条第2項)、特定理由離職者は、期間の定めのある労働契約が満了して更新されない場合(本人が更新を希望したのに合意に至らなかった場合に限る)などのやむを得ない理由による離職(第13条第3項)とされています。
どの離職理由が当たるかは、ハローワークが判断します。厚生労働省のページでは、離職理由の最終的な判定は受給資格の決定のとき、本人への確認と調査を経て行うと説明されています。受給資格者証に書かれた離職理由を確認してください。ハラスメントによる離職は職場のハラスメントで転職を考えるとき、自己都合と会社都合の違いは退職に伴う手続きの記事で説明しています。
| 項目 | 自治体の案内(江戸川区:2026年8月17日更新、杉並区:2025年4月1日更新) |
|---|---|
| 対象 | 離職日現在65歳未満で、雇用保険受給資格者証または受給資格通知の「離職理由」欄の番号が11・12・21・22・23・31・32・33・34のいずれかの方(番号の案内は自治体で異なる場合があります) |
| 軽減の内容 | 前年の給与所得を100分の30として計算します。高額療養費などの所得区分の判定も同様とされています |
| 軽減されないもの | 給与所得以外の所得。受給資格者証の右上に「特」「高」の表示がある方(特例受給資格者・高年齢受給資格者)は該当しません |
| 期間 | 離職日の翌日の属する月から、翌年度の3月31日まで |
③ 軽減を受けるための手続きと、注意したい点
軽減は自動では適用されず、届出が必要とされています。自治体の案内に沿った一般的な流れは次のとおりです。
- ハローワークで受給資格の決定を受け、「雇用保険受給資格者証」(または「雇用保険受給資格通知」)の交付を受けます
- 国民健康保険の加入の届出を、退職後14日以内を目安に行います
- 受給資格者証が届いたら、市区町村の国保窓口で軽減の届出をします
- 持ち物:受給資格者証または受給資格通知の原本、マイナンバーが確認できるもの、本人確認書類。杉並区は窓口での写しを受け付けず、江戸川区は受給資格者証・受給資格通知以外の書類では受け付けないとされています。郵送や電子申請に対応する自治体もあります
- 期間の長さ:離職の時期で変わります。江戸川区の案内の例では、離職日が令和8年3月20日なら令和8年3月分から令和9年3月分まで(13か月分)、令和8年4月30日なら令和8年5月分から令和10年3月分まで(23か月分)です
- 遅れたとき:杉並区の案内では、遡って適用されるものの、2年度以上遡ると再計算できない期間が生じることがあるとされています。江戸川区の案内では、2年以上さかのぼった離職日は対象外になる場合があるとされています
- 所得の申告:軽減を受けるには所得の申告が必要です(江戸川区)
- 就職したとき:国民健康保険に加入している間が対象です。会社の健康保険に入ったら、国民健康保険をやめる届出をしないと、保険料の二重払いになることがあります(江戸川区)
④ 国民年金の保険料免除・納付猶予|失業等による特例
国民年金(第1号)の保険料は、納付対象月の翌月末日までに納めます(国民年金法第91条)。令和8年度は月額17,920円とされています(日本年金機構、2026年4月1日更新)。収入が減って納めるのが難しいときのために、免除(全額・4分の3・半額・4分の1)と納付猶予(20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下)があります(同機構、2026年10月16日更新)。通常は前年の所得で審査され、全額免除と納付猶予の基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」の範囲内とされています。
失業等による特例免除
日本年金機構の案内では、失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があるとされています。書類は、離職票のコピー、またはハローワークの受給資格者証・受給資格通知のコピーなどです(事業の廃止などの場合は別の書類)。
- 世帯の状況も見られます:世帯主や配偶者がいる方は、その方が所得の要件を満たしているか、失業等の特例に当てはまっている必要があります。本人が失業していても承認されない場合があります(国民年金法第90条第1項のただし書きにも同じ趣旨の定め)
- 免除の始まり:失業等のあった月の前月から。失業した日は離職日の翌日です
- さかのぼり:申請時点から2年1か月前までの期間が申請できます
- 毎年度の申請:申請書1枚で申請できるのは7月から翌年6月までの1年度分。特例免除の承認を受けた方は、翌年度も申請が必要です
- 申請先:住所地の市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、またはお近くの年金事務所。郵送や電子申請も案内されています
離職票は、ハローワークに提出すると返却されません。札幌圏のハローワークのQ&Aでは、後日交付される受給資格者証の写しでも区役所の手続きができること、離職票が必要な方は提出前にコピーを取っておくとよいことが案内されています。
なお、国民健康保険の軽減は離職理由の番号で対象が示されています。一方、日本年金機構の案内には、自己都合か会社都合かで特例の対象を分ける記載は、確認した範囲では見当たりませんでした。ご自身が対象になるかどうかは、窓口でご確認ください。
学生納付特例との違い
学生の方は免除・納付猶予制度の対象外で、別に「学生納付特例制度」があります。学生納付特例は、配偶者と世帯主の所得審査がなく、申請書1枚で申請できるのは4月から翌年3月までの1年度分です。どちらも追納の対象です。
⑤ 免除・猶予を受けた期間の年金と、追納のしくみ
免除や納付猶予が承認された期間は、「未納」とは扱いが違います(日本年金機構、2026年10月16日更新)。
| 期間の扱い | 老齢基礎年金の受給資格期間 | 老齢基礎年金の年金額 | 障害・遺族基礎年金の受給資格期間 |
|---|---|---|---|
| 納付 | 算入 | 反映 | 算入 |
| 全額免除 | 算入 | 反映(全額納付の2分の1) | 算入 |
| 納付猶予 | 算入 | 反映されない | 算入 |
| 未納 | 算入されない | 反映されない | 算入されない |
一部免除は、免除の種類ごとの割合で年金額に反映されます。全額免除の割合は、平成21年3月分までは3分の1です。老齢基礎年金を受け取るには、納付済期間と免除期間などを合わせて10年以上が必要とされています。未納のままだと、障害や死亡のときに障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れない場合もあります。納付が難しいときは、未納にせず窓口で相談してください。
追納(ついのう)のしくみ
- 追納できるのは、承認された月の前10年以内の免除等の期間です(国民年金法第94条第1項)。原則、古い期間から納めます
- 承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料額に加算額が上乗せされます
- 申込先は年金事務所で、納付書で納めます(口座振替・クレジットカードは不可)。老齢基礎年金を受け取れる方は追納できません
- 追納した保険料は社会保険料控除の対象です(年の途中で転職したときの税金も参照)
追納するかどうかは、家計の状況で変わる判断です。この記事では、すすめることも見送ることもしません。気になる場合は、年金事務所で相談してください。
⑥ 退職後の手続きの期限と、書類の集め方
| 手続き | 窓口 | 期限・時期の目安 | 主な書類(案内で確認できたもの) |
|---|---|---|---|
| 国民健康保険の加入 | 市区町村の国保窓口 | 退職後14日以内(江戸川区) | 職場の健康保険をやめた証明書、マイナンバーが確認できるもの、本人確認書類 |
| 国保料の軽減の届出 | 市区町村の国保窓口 | 受給資格者証が届いたら早めに | 受給資格者証または受給資格通知(原本)など |
| 国民年金の加入(第1号) | 市区役所・町村役場 | 退職日の翌日から14日以内 | 基礎年金番号通知書など、またはマイナンバーカード。退職直後は、離職票など資格喪失日を証明できるものが必要な場合があります |
| 年金の免除・納付猶予の申請 | 市区役所・町村役場、年金事務所 | 申請時点から2年1か月前まで | 離職票または受給資格者証のコピーなど |
| 年金保険料の納付 | 納付書・口座振替など | 納付対象月の翌月末日 | ― |
期限に間に合わなかったときの扱いは、自治体や制度で違います。江戸川区の案内では、職場の健康保険をやめた証明書の発行が遅れているなどの理由があれば、14日を過ぎても手続きができ、書類がそろい次第すみやかに届出をするよう示されています。この証明書は、勤めていた会社や、加入していた健康保険に確認します(入社時に必要な書類と手続きでも触れています)。
⑦ 保険料の負担が心配なときの相談先
軽減に当てはまらない場合でも、国民健康保険法の第77条には、市町村は条例の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、またはその徴収を猶予することができる、という定めがあります(e-Gov法令検索で確認)。対象や申請の方法は自治体で異なるため、市区町村の国保窓口で相談してみてください。
相談先の目安は、国民健康保険が市区町村の国保窓口、国民年金が市区役所・町村役場の国民年金担当窓口か年金事務所、離職理由や受給資格者証がハローワークです。早く就職が決まったときは再就職手当の記事、退職金や企業年金は退職金と企業年金の記事が参考になります。納付した国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象になるとされています(日本年金機構)。
保険料が不安で、条件をよく確認しないまま転職先を急いで決めたくなることもあります。制度や相談できる窓口があることを知っておくと、少し余裕を持てるかもしれません。迷うときは転職して後悔しないために、気持ちの面で負担が大きいときは転職活動がつらいときも参考にしてください。
お金や手続きの不安が大きいとき、相談先のひとつとして転職エージェントに話を聞いてみるという方法もあります。広告主の紹介によると、ユメキャリAgentは、大手企業の現役の面接官が運営している転職エージェントとのことです。ただし、国民健康保険料の軽減や国民年金の免除は、離職の理由や世帯の状況などをもとに、市区町村や年金事務所が判断します。サービスの利用がそれらに影響するかどうかも含め、公的な窓口で確認してください。サービスの内容や対象、利用条件は公式サイトでご確認ください。
ユメキャリAgentについて見てみる →📌 まとめ
- 退職後の健康保険は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」、年金は国民年金の第1号(自分で納める)か第3号(扶養)。国民健康保険は退職後14日以内(江戸川区)、国民年金の加入は退職日の翌日から14日以内が目安
- 国民健康保険の「非自発的失業者の軽減」は、特定受給資格者や、受給資格のある特定理由離職者が対象で、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算する仕組み。届出が必要で、受給資格者証などを持って市区町村の窓口へ行く。届出が遅れると軽減できない期間が出る場合がある
- 国民年金は、失業等の事実を確認できると、前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられる特例がある。世帯主や配偶者がいる場合は、その状況も見られる。2年1か月前までさかのぼれ、毎年度の申請が必要
- 免除・納付猶予の期間は、未納と違い受給資格期間に算入される。納付猶予は年金額に反映されない。承認から10年以内なら追納もできる
- 対象かどうか、金額、手続きは、市区町村・年金事務所・ハローワークの窓口で確認する。特別の理由がある場合の国保料の減免・徴収猶予の制度もある
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年10月16日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html - 日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」(2026年8月3日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150402-01.html - 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(2026年4月1日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html - 日本年金機構「国民年金保険料」(2026年4月1日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html - 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」(2025年9月11日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html - 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(2026年9月30日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html - 厚生労働省「特定受給資格者となる離職理由の判定基準」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00064.html - 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「離職されたみなさまへ」(雇用保険のパンフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf - ハローワーク札幌圏「国民年金保険料の免除、納付猶予のため離職票を区役所から提出するように言われました」
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-hellowork/list/sapporo/menuflame/1629_qanda/04.html - 協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/003/index.html - 江戸川区「非自発的な失業をした方の国民健康保険料軽減制度」(2026年8月17日更新)
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e053/kurashi/iryohoken/kokuho/hokenryou/keisan/hokenryokegen.html - 江戸川区「会社を辞めたので、国民健康保険の加入手続きをしたいのですが」(2026年4月1日更新)/「就職して会社の保険に加入しました。国民健康保険の手続きは必要ですか。」(2024年12月2日更新)
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e053/qa/kurashi/kokuho/kokuho01.html
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e053/qa/kurashi/kokuho/kokuho02.html - 杉並区「非自発的に失業された方の国民健康保険料の減額」(2025年4月1日更新)
https://www.city.suginami.tokyo.jp/s035/1995.html - e-Gov法令検索「国民健康保険法施行令」(第29条の7の2)
https://laws.e-gov.go.jp/law/333CO0000000362 - e-Gov法令検索「国民健康保険法」(第77条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - e-Gov法令検索「雇用保険法」(第13条第3項、第23条第2項)
https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - e-Gov法令検索「国民年金法」(第90条、第91条、第94条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141
※2026年10月時点で確認した内容です。国民年金の保険料や免除の基準、国民健康保険料の軽減の取扱いは、年度ごとや自治体ごとに改定・変更されることがあります。最新の情報は、市区町村・年金事務所・ハローワークの窓口でご確認ください。
※本記事は、公的機関の案内をもとに、退職後の国民健康保険・国民年金の保険料の軽減・免除を整理した一般的な解説です。対象になるかの判断、保険料の計算、税務・社会保険の個別相談は行っていません。ご自身の場合は、各窓口でご確認ください。